テレワークの普及に伴い、自宅やカフェなど社外のネットワークから業務システムにアクセスする機会が増えています。しかし社外のネットワークは社内LANと比べてセキュリティレベルが低く、通信の傍受や不正アクセスのリスクが常につきまといます。
VPN(Virtual Private Network)はこうしたリスクを軽減するための有効なツールです。通信を暗号化し、安全なトンネルを通じてデータをやり取りすることで、社外からでも安全に業務を行える環境を構築できます。
この記事では、テレワーク向けVPNの仕組みから選び方、個人利用と法人利用の違い、具体的なおすすめサービスまで、必要な情報を網羅的にまとめました。セキュリティを確保しつつ快適にテレワークを行うための参考にしてください。

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テレワークにVPNが必要な理由
社外ネットワークのセキュリティリスク
自宅のWi-Fiは社内LANと比べてセキュリティ対策が不十分なケースが多いです。ルーターのファームウェアが古い、暗号化方式がWPA2ではなくWEPのまま、初期パスワードが変更されていない――こうした脆弱性は攻撃者に悪用される恐れがあります。
カフェやコワーキングスペースのフリーWi-Fiはさらにリスクが高く、同じネットワーク上の第三者に通信内容を傍受される可能性があります。業務で機密情報を扱う場合、VPNなしでのフリーWi-Fi利用は避けるべきです。
通信の暗号化で情報漏洩を防ぐ
VPNを利用すると、デバイスとVPNサーバー間の通信がAES-256ビットで暗号化されます。これは軍事レベルの暗号化方式で、現在の技術では解読は事実上不可能とされています。仮に通信が傍受されたとしても、暗号化されたデータから内容を読み取ることはできません。
IPアドレスの秘匿
VPNを使うと自分の本来のIPアドレスがVPNサーバーのIPアドレスに置き換わります。これにより、アクセス先のサーバーやウェブサイトから自分の実際の接続場所を特定されにくくなるという副次的なメリットもあります。
テレワーク特有の脅威
IPA(情報処理推進機構)の情報セキュリティ10大脅威でも、テレワーク環境を狙った攻撃が上位にランクインしています。VPN機器の脆弱性を突いた不正アクセスや、リモートデスクトップ経由の侵入など、テレワーク特有の脅威は年々増加しています。
テレワーク向けVPNの選び方
暗号化方式の確認
AES-256ビット暗号化は必須条件と考えてください。大手VPNはすべてAES-256を採用していますが、無料VPNや小規模なサービスではAES-128やそれ以下の暗号化方式を使っている場合があります。業務データを扱うテレワークでは妥協すべきポイントではありません。
ノーログポリシー
VPNサービス自体がユーザーの通信ログを保存していないことも重要です。「ノーログポリシー」を掲げていても、第三者機関の監査を受けて証明しているサービスとそうでないサービスがあります。テレワーク用途では、外部監査済みのVPNを選ぶのが安心です。
通信速度と安定性
テレワークではビデオ会議(Zoom、Teams、Google Meet)やクラウドサービスへのアクセスが頻繁に発生します。VPN接続中に速度が大幅に低下すると、ビデオ通話の画質低下や音声の途切れが起きて業務に支障をきたします。
WireGuardベースのプロトコル(NordVPNのNordLynx、ExpressVPNのLightwayなど)は速度と安定性のバランスに優れており、テレワーク用途に適しています。
キルスイッチ機能
キルスイッチは、VPN接続が予期せず切断された場合にインターネット接続自体を遮断する機能です。VPN切断時に暗号化されていない通信がそのまま流れてしまうリスクを防ぎます。テレワークで機密情報を扱う場合はキルスイッチ搭載のVPNを必ず選ぶべきです。

個人向けと法人向けVPNの違い
個人向けVPN
NordVPN、ExpressVPN、SurfsharkなどのコンシューマーVPNは、個人のプライバシー保護やコンテンツアクセスを主な目的としています。テレワークでの個人利用にも十分なセキュリティ機能を備えていますが、管理者向けの機能(ユーザー管理、アクセスログなど)は基本的にありません。
フリーランスや個人事業主のテレワーク、会社がVPNを提供していない場合の自衛手段として適しています。
法人向けVPN
法人向けVPN(NordVPN Teams / NordLayer、Perimeter 81など)は、管理者がユーザーのアクセス権限を設定したり、チーム全体の接続状況を一元管理できる機能を備えています。
社内ネットワークへのセキュアなリモートアクセスが必要な場合や、複数の従業員にVPNを一括導入する場合は法人向けサービスが適しています。
どちらを選ぶべきか
会社がVPNを用意している場合はそちらを利用してください。会社が用意していない場合で、フリーWi-Fiを使う機会が多い方や個人情報を扱う業務をしている方は、個人向けVPNの導入を自分で検討する価値があります。月額500円程度で業務データのセキュリティが格段に向上します。
テレワークにおすすめのVPN
NordVPN ― 総合力でテレワークに最適
111カ国以上に6,400台以上のサーバーを展開するNordVPNは、速度・セキュリティ・使いやすさの3要素がバランスよく揃っています。NordLynxプロトコルによる高速接続で、ビデオ会議中の速度低下もほとんど感じません。
キルスイッチ、ダブルVPN(二重暗号化)、脅威保護(マルウェアブロック)など、テレワークに役立つセキュリティ機能が充実しています。PwCによるノーログポリシーの外部監査も実施済みです。
2年プランで月額500円前後、30日間返金保証つきです。法人向けの「NordLayer」も提供されており、チーム利用にも対応しています。
ExpressVPN ― 速度最優先のテレワーカーに
通信速度で常にトップクラスの評価を得ているExpressVPNは、ビデオ会議や大容量ファイルの送受信が多いテレワーカーに適しています。105カ国にサーバーを展開し、独自プロトコル「Lightway」で接続確立の速さも業界トップレベルです。
全アプリにキルスイッチが標準搭載されており、VPN切断時のデータ漏洩リスクを防止します。Deloitteによるセキュリティ監査も実施済みです。
Surfshark ― コスパと同時接続台数で選ぶなら
月額300円台から利用でき、同時接続台数が無制限のSurfsharkは、PC・スマホ・タブレットなど複数のデバイスでテレワークを行う方に最適です。CleanWeb機能で広告やマルウェアのブロックもできるため、業務中のセキュリティが向上します。
コストを抑えつつしっかりしたセキュリティを確保したい個人のテレワーカーに特におすすめです。
MillenVPN ― 日本語サポートが充実の国産VPN
日本企業が運営するMillenVPNは、日本語でのサポートが完備されています。VPNの設定に不安がある方や、トラブル時に日本語で相談したい方には安心感があります。2年プランで月額396円からとコストも抑えられています。
テレワークVPN選びのチェックリスト:
・AES-256ビット暗号化に対応しているか
・キルスイッチ機能が搭載されているか
・ノーログポリシーが外部監査で証明されているか
・ビデオ会議に支障のない速度が出るか
・利用するデバイスすべてに対応しているか

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会社のセキュリティポリシーを確認する
会社によっては個人利用のVPNの使用を禁止している場合があります。情報システム部門が指定するVPNやセキュリティツールがある場合はそちらを優先してください。個人VPNの導入を検討する際は、まず会社のセキュリティポリシーを確認することが重要です。
無料VPNはテレワークには不適切
無料VPNは通信速度が遅い、データ容量に制限がある、通信ログを収集する可能性があるなど、テレワークに求められる要件を満たしていないケースがほとんどです。業務データを扱うテレワークでは、信頼できる有料VPNを使用してください。個人でのVPN必要性については以下の記事でさらに詳しく解説しています。

VPNだけでは万全ではない
VPNは通信の暗号化に有効ですが、デバイス自体のセキュリティ対策も必要です。OS やセキュリティソフトのアップデート、強固なパスワードの設定、二段階認証の有効化など、VPNと組み合わせた総合的なセキュリティ対策を心がけてください。
VPNはセキュリティ対策の「一部」であって「すべて」ではありません。フィッシングメール、マルウェア、弱いパスワードなど、VPNでは防げない脅威も多数あります。VPN導入と同時に、基本的なセキュリティ習慣を見直すことが大切です。
テレワーク環境でのVPN設定手順
PCでの設定(Windows / Mac)
VPNサービスの公式サイトからアプリをダウンロードし、インストールします。アカウントにログインし、「Quick Connect」(自動接続)を選べば最適なサーバーに自動で接続されます。テレワーク開始前にVPNをオンにし、業務終了まで接続を維持するのが基本です。
スマートフォンでの設定
App StoreまたはGoogle PlayからVPNアプリをインストールします。モバイルでも業務メールやクラウドサービスにアクセスする場合は、スマホにもVPNを設定しておくことを推奨します。VPNの基本的な使い方は以下の記事で初心者向けに解説しています。



ルーターへのVPN設定
自宅のルーターにVPNを設定すれば、ルーターに接続するすべてのデバイスがVPN経由で通信します。PC、スマホ、タブレットを個別に設定する手間が省けるうえ、VPN非対応のIoTデバイスも保護できるメリットがあります。
参考:総務省 – 情報セキュリティサイト(www.soumu.go.jp・サイト終了)
テレワーク × VPNでよくある質問(Q&A)
Q. VPN接続中にビデオ会議の画質が落ちるのですが?
VPNサーバーの混雑や物理的な距離が原因の可能性があります。地理的に近いサーバー(日本サーバーなど)に接続する、プロトコルをWireGuard系に変更する、混雑時間帯を避ける、といった対策を試してみてください。
Q. 会社のVPNと個人のVPNを同時に使える?
一般的に、2つのVPNを同時に使うことはできません。会社のVPNに接続している間は個人VPNを切り、個人の作業をする際は会社のVPNを切断してから個人VPNに切り替える運用が必要です。スプリットトンネリング機能を使えば、一部の通信だけVPN経由にする設定も可能です。
Q. テレワーク中、常にVPNをオンにしておくべき?
業務データを扱う間はVPNを常にオンにしておくことを推奨します。休憩中にプライベートの動画視聴をする場合など、業務外の用途ではオフにしても構いませんが、フリーWi-Fi利用中はプライベート利用でもVPNオンを推奨します。
Q. VPNの月額費用は経費として認められる?
個人事業主やフリーランスの場合、テレワークのセキュリティ対策として導入したVPNの費用は「通信費」として経費計上できる可能性があります。会社員の場合は会社の規定によりますが、在宅勤務手当の範囲内で認められるケースもあります。税理士に確認してみてください。
Q. スマホのテザリングでテレワークする場合もVPNは必要?
モバイル回線のテザリングはフリーWi-Fiよりは安全ですが、完全に安全というわけではありません。機密性の高い業務データを扱う場合は、テザリング接続でもVPNを併用するのが望ましいです。


まとめ:テレワークのセキュリティはVPNから始まる
テレワークで社外のネットワークから業務を行う以上、通信の暗号化は最低限のセキュリティ対策として実施すべきです。VPNを導入するだけで、通信の傍受、IPアドレスの追跡、フリーWi-Fiでの情報漏洩といったリスクを大幅に軽減できます。
セキュリティと速度のバランスならNordVPN、速度最優先ならExpressVPN、コスパと同時接続台数ならSurfshark、日本語サポート重視ならMillenVPNがそれぞれ有力な選択肢です。
月額300〜500円のコストで業務データのセキュリティが格段に向上するのであれば、テレワーカーにとってVPNは「あったら便利」ではなく「なくてはならない」ツールだと言えるのではないでしょうか。
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