「VPNを使いたいけど、お金はかけたくない」という理由で無料VPNを検討している方は少なくありません。App StoreやGoogle Playで検索すれば、無料で使えるVPNアプリが大量にヒットします。
しかし、無料VPNには有料VPNにはないリスクが潜んでいます。「タダほど高いものはない」という言葉がありますが、VPNの世界ではこれが文字通り当てはまるケースが少なくありません。
この記事では、無料VPNに潜む具体的な危険性を7つ取り上げ、それぞれのリスクがどれほど深刻なのかを解説します。安全にVPNを利用するための対策も紹介しているため、ぜひ最後まで読んでください。

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危険性1:個人データの収集と販売
なぜ無料なのかを考える
VPNサービスの運営にはサーバー費用、開発費用、帯域費用など多額のコストがかかります。有料VPNはユーザーのサブスクリプション料金でこれらのコストを賄っていますが、無料VPNはどうやって収益を上げているのでしょうか。
答えは「ユーザーのデータ」です。2019年の調査では、テストされた150の無料VPNサービスのうち85%が、何らかの形でユーザーデータを収集・第三者に販売していたことが判明しています。
収集される情報の範囲
収集されるデータには、閲覧履歴、IPアドレス、接続時間、ダウンロード量だけでなく、メールアドレスやデバイス情報なども含まれます。これらの情報が広告ネットワークやデータブローカーに販売されると、ターゲティング広告に利用されるだけでなく、最悪の場合はフィッシング詐欺やスパムメールの材料にもなり得ます。
無料VPNを検討する場合は、必ずプライバシーポリシーを読んでください。「データを第三者と共有する場合がある」「マーケティング目的でデータを利用する」といった記載がある場合は、そのサービスの利用を避けるべきです。
危険性2:暗号化の不十分さ
暗号化されていないVPN?
VPNの本来の目的は通信の暗号化ですが、一部の無料VPNは暗号化をまったく行っていないケースがあります。通信がそのまま平文で送信されるため、フリーWi-Fiでの盗聴リスクはVPN未使用時と変わりません。
古い暗号化方式のリスク
暗号化を行っている無料VPNでも、DESやRC4など古い暗号化方式を使用しているサービスがあります。実際に、ある大手無料VPNサービスが「AES-256暗号化」と謳いながら、実際にはRC4暗号化を使用していた事例が報告されています。RC4は既に脆弱性が発見されており、解読される可能性がある暗号化方式です。
有料の大手VPNサービスはすべてAES-256ビット暗号化を採用しており、これは現時点で事実上解読不可能とされている暗号化規格です。

危険性3:マルウェアとアドウェアの混入
VPNアプリ自体がマルウェア
無料VPNアプリの中には、マルウェアやスパイウェアが仕込まれているものが存在します。CSIRO(オーストラリア連邦科学産業研究機構)の調査によると、調査対象となった無料VPNアプリの約38%にマルウェアの兆候が確認されました。
インストールした瞬間にデバイスが感染するケースもあれば、バックグラウンドで密かに個人情報を外部に送信し続けるケースもあります。セキュリティを高めるためにインストールしたアプリが、逆にセキュリティを破壊するという皮肉な状況です。
過剰な広告表示
マルウェアまでは含まれていなくても、過剰な広告を表示するアドウェアが組み込まれている無料VPNは非常に多いです。ブラウジング中にポップアップ広告が頻繁に表示されたり、広告付きのリダイレクトが発生したりします。
広告の中にはフィッシングサイトへ誘導するものや、さらなるマルウェアのダウンロードを促すものも含まれるため、単に「うっとうしい」だけでは済まないリスクがあります。
危険性4:IPアドレスの漏洩
DNS漏洩とWebRTC漏洩
VPNの重要な機能の一つがIPアドレスの秘匿ですが、無料VPNの中にはDNS漏洩やWebRTC漏洩の対策が不十分なサービスがあります。
DNS漏洩が発生すると、VPN接続中であっても閲覧先のWebサイトのアドレスがISP(インターネットプロバイダ)に筒抜けになります。WebRTC漏洩はブラウザの機能を通じてIPアドレスが漏洩する現象で、VPNに接続していても本来のIPアドレスが露出してしまいます。
有料VPNではDNS漏洩防止やWebRTC漏洩防止が標準装備されていますが、無料VPNではこれらの対策が省略されているケースが目立ちます。
キルスイッチの非搭載
VPN接続が切断された際にインターネットを遮断するキルスイッチは、プライバシー保護に不可欠な機能です。しかし、多くの無料VPNにはキルスイッチが搭載されていません。VPN接続が不意に切断されると、暗号化されていない通信に戻り、IPアドレスが漏洩します。
危険性5:通信速度の極端な制限
帯域制限とデータ上限
無料VPNの多くは、通信速度や月間データ量に厳しい制限を設けています。速度が100Kbps程度まで絞られるサービスもあり、Webページの読み込みすらストレスを感じるレベルです。
データ量の上限も月500MB〜2GB程度に制限されていることが多く、動画視聴はもちろん、通常のWebブラウジングでも数日で上限に達してしまいます。
サーバー数の制限
無料VPNでは使用できるサーバーが数カ国に限定されていることがほとんどです。日本サーバーが使えないサービスも多く、日本国内からの利用では極端に遅いサーバーしか選べない状況になりがちです。

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危険性6:ログの保存と当局への提供
ノーログポリシーの嘘
多くの無料VPNが「ノーログポリシー」を掲げていますが、実際にはログを保存しているケースが報告されています。有料VPNの大手であればDeloitteやPwCなどの第三者機関による監査でノーログポリシーの遵守が確認されていますが、無料VPNで第三者監査を受けているサービスはほぼ存在しません。
運営元が不明なサービスのリスク
無料VPNの中には、運営会社名・所在地・連絡先が公式サイトに明示されていないサービスも少なくありません。こうしたサービスでは、収集されたデータがどのように扱われるのか確認する手段がなく、問題が発生しても問い合わせ先すらありません。
NordVPNの公式ブログでも、無料VPNの危険性として「ユーザーの通信ログを政府機関に提供するケースがある」と警告しています。
危険性7:ボットネットへの利用
ユーザーの帯域が悪用される
一部の無料VPNでは、ユーザーのデバイスの帯域を他のユーザーのVPN通信に利用したり、ボットネットの一部として使用するケースが報告されています。過去には、人気のある無料VPNサービスがユーザーの帯域を販売していたことが発覚し、大きな問題になりました。
自分のデバイスが知らないうちに他人の通信の踏み台にされていた、という事態は非常に深刻です。場合によっては、自分のIPアドレスが違法行為に使われるリスクもあります。
すべての無料VPNが危険というわけではありませんが、安全な無料VPNは極めて限定的です。有料VPNサービスが提供する無料プラン(ProtonVPN Free等)を除けば、安心して使える無料VPNは非常に少ないのが現実です。
安全にVPNを使うための対策
有料VPNの返金保証を活用する
NordVPN、ExpressVPN、Surfsharkなどの大手有料VPNはいずれも30日間の返金保証を提供しています。この期間内であれば理由を問わず全額返金されるため、実質的に30日間無料で有料VPNの品質を体験できます。
「無料で使いたい」という動機であれば、無料VPNを使うよりも有料VPNの返金保証を利用する方がはるかに安全です。
有料VPNの無料プランを選ぶ
ProtonVPNは有料サービスの一部機能を無料で提供しています。速度やサーバー数に制限はありますが、データ量は無制限で、プライバシーポリシーも有料版と同じものが適用されます。安全性が確認された無料オプションとして検討する価値があります。
チェックすべきポイント
- 運営会社の名前・所在地・連絡先が公式サイトに明記されているか
- プライバシーポリシーが公開されており、データの扱いが明確か
- 第三者機関によるセキュリティ監査を受けているか
- AES-256ビット暗号化を採用しているか
- キルスイッチやDNS漏洩防止機能があるか
- ユーザーレビューや専門メディアでの評価が高いか

無料VPNに関するQ&A
Q. 無料VPNは全部危険?
全部が危険というわけではありませんが、安全な無料VPNは非常に限られています。ProtonVPN Freeのように、有料サービスの運営元が提供する無料プランであれば、セキュリティ面での信頼性は一定程度確保されています。ただし、出所不明の無料VPNアプリは利用しないのが賢明です。
Q. 無料VPNでNetflixは観られる?
ほとんどの無料VPNではNetflixの地域制限を解除できません。Netflixは無料VPNのIPアドレスを積極的にブロックしているため、接続してもエラーが表示されるケースが大半です。動画配信サービスの利用が目的なら有料VPNを選ぶ必要があります。
Q. 無料VPNを入れたらスマホが重くなった。マルウェア?
必ずしもマルウェアとは限りませんが、可能性はあります。無料VPNアプリがバックグラウンドで大量のデータを送受信していたり、広告を表示するためにリソースを消費していることが原因の場合もあります。不審に感じたら、そのアプリをアンインストールし、セキュリティスキャンを実行してください。
Q. 会社で使うVPNも危険?
会社が提供する法人向けVPNは、無料VPNとはまったく別のものです。企業のIT部門が管理しているVPNは適切なセキュリティ対策が施されているのが通常です。この記事で取り上げているリスクは、個人が利用する無料のVPNアプリに関するものです。
Q. 有料VPNの月額費用はどのくらい?
大手VPNの2年プランであれば月額300円〜600円程度です。NordVPNのベーシックが月額約470円、Surfsharkが月額約300円、ExpressVPNのBasicが月額約520円です。いずれも30日間の返金保証があります。
まとめ
無料VPNには、個人データの収集・販売、暗号化の不十分さ、マルウェアの混入、IPアドレスの漏洩など、深刻なセキュリティリスクが潜んでいます。VPNでセキュリティを高めるつもりが、逆にリスクを増大させてしまうのでは本末転倒です。
安全にVPNを利用したいなら、有料VPNの30日返金保証を活用するか、ProtonVPN Freeのように信頼できる無料プランを選んでください。月額数百円の投資で、通信のプライバシーと安全性を確保できると考えれば、有料VPNのコストパフォーマンスは非常に高いと言えます。

無料VPNのリスクについて詳しくはNordVPN公式ブログでも解説されています。VPNのセキュリティ全般についてはNTTPCのセキュリティコラムも参考になります。
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