VPNを使うと通信速度が遅くなるって聞いたことはないだろうか。実際のところ、VPNを利用すると通信にひと手間加わるため、多少の速度低下は避けられない。ただし、どれくらい下がるかはサービスや環境次第で大きく変わってくる。
この記事では、VPN接続時に通信速度がどの程度低下するのか、その原因と具体的な改善策をわかりやすく解説していく。VPNの速度が気になっている方は、ぜひ参考にしてほしい。

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VPNで通信速度が低下する仕組み
VPNを使うと通信速度が低下する主な理由は、データの暗号化処理とVPNサーバーを経由する迂回ルートの2つにある。
通常のインターネット接続では、端末からISP(インターネットプロバイダ)を通じて目的のサイトに直接アクセスする。一方、VPN接続では端末とVPNサーバーの間でデータが暗号化され、VPNサーバーを経由してから目的のサイトにアクセスする。
この暗号化と復号の処理にCPUリソースが使われるため、処理にかかる時間分だけ速度が落ちる。また、VPNサーバーが物理的に離れた場所にあると、データの往復距離が長くなり、その分だけ遅延(レイテンシ)が発生する。
実際にどれくらい速度は低下するのか
VPN接続時の速度低下率は、利用するVPNサービスや接続先サーバーの距離によって大きく異なる。一般的な目安は以下のとおりである。
- 高品質な有料VPN(国内サーバー接続時):速度低下は5〜15%程度
- 有料VPN(海外サーバー接続時):速度低下は20〜40%程度
- 無料VPN:速度低下は50%以上になることも珍しくない
たとえば、光回線で下り600Mbps程度の環境の場合、NordVPNの国内サーバーに接続すると下り550Mbps前後を維持できたという実測データもある。一方、米国西海岸のサーバーに接続すると下り480Mbps前後まで落ちることがある。
ただし、元の回線速度が遅い場合(例:下り30Mbps程度のモバイル回線)、VPNによる速度低下の影響は体感しにくいことも多い。動画視聴やWeb閲覧に必要な速度は10〜25Mbps程度なので、多少の低下があっても実用上は問題ないケースがほとんどである。
速度低下の主な原因を深掘り
VPNサーバーとの物理的な距離
VPN接続で速度に影響する要因として大きいのが、接続先サーバーとの物理的な距離である。日本にいて日本のサーバーに接続するなら影響は少ないが、アメリカやヨーロッパのサーバーに接続すると、データの往復距離が長くなり遅延が大きくなる。
暗号化プロトコルの種類
VPNが使用するプロトコル(通信規格)によっても速度は変わる。WireGuardは軽量でかなり高速なのに対し、OpenVPN(TCP)はセキュリティは高いがやや速度が出にくい傾向がある。IKEv2はモバイル環境との相性がいい。
VPNサーバーの混雑状況
多くのユーザーが同じサーバーに集中すると、サーバー側の処理能力がボトルネックになって速度が低下する。特にゴールデンタイム(19時〜23時頃)は混雑しやすい。
元の回線環境の品質
VPN以前に、利用しているインターネット回線自体が遅い場合は、VPNを使うとさらに体感速度が落ちる。Wi-Fi接続よりも有線LAN接続のほうが安定した速度が出やすい。


ISPによるスロットリング
ISP(インターネットプロバイダ)が特定の通信を意図的に制限する「スロットリング」が行われている場合、実はVPNを使うことで速度が改善するケースもある。VPNで通信が暗号化されることで、ISPがどんな通信か判別できなくなり、制限が解除されることがあるためである。
VPNの速度低下を改善する7つの方法
1. 近いサーバーに接続する
速度を重視するなら、現在地から近いサーバーを選ぶのが鉄則である。日本国内にいるなら日本のサーバー、アジア圏ならアジアのサーバーに接続することで、遅延を抑えられる。
2. プロトコルをWireGuardに変更する
多くのVPNアプリでは、設定画面からプロトコルを変更できる。速度を優先するならWireGuardやNordLynx(NordVPN独自のWireGuardベースのプロトコル)を選ぶと、体感速度が大きく向上することがある。
3. 有線LAN接続に切り替える
Wi-Fi接続では電波干渉や距離の影響を受けるため、可能であれば有線LAN接続に切り替えるだけで10〜20%の速度向上が見込める。
最近の薄型ノートPCにはLANポートがない機種も多い。その場合はUSB接続の有線LANアダプターを使えば、有線接続に切り替えられる。
4. 混雑していないサーバーを選ぶ
NordVPNなど一部のVPNサービスでは、サーバーの負荷率がパーセンテージで表示される。負荷率50%以下のサーバーを選ぶことで、混雑による速度低下を避けられる。
5. VPNアプリを最新版に更新する
古いバージョンのVPNアプリにはバグやパフォーマンス上の問題が含まれていることがある。定期的にアップデートすることで、速度面の改善が図れる。
6. スプリットトンネルを活用する
スプリットトンネルは、特定のアプリやサイトだけVPNを通す機能のこと。すべての通信をVPN経由にする必要がない場合は、この機能を使うことでVPNの負荷を減らし、全体的な速度を改善できる。
7. VPNサービス自体を見直す
無料VPNを使っていて速度に不満があるなら、有料VPNへの乗り換えを検討する価値がある。NordVPN、ExpressVPN、Surfsharkといった大手サービスは、サーバー数が多く回線品質も高いため、安定した速度が期待できる。


速度を重視するならどのVPNサービスを選ぶべきか
速度面で評価が高いVPNサービスの特徴を整理すると、以下のようになる。
- NordVPN:独自プロトコル「NordLynx」で高速通信を実現。サーバー数も多く負荷分散がしっかりしている
- ExpressVPN:独自プロトコル「Lightway」を採用。安定性が高く、海外サーバーでも速度が落ちにくい
- Surfshark:WireGuardに対応しており、コストパフォーマンスに優れている
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VPN使用中に速度を測定する方法
VPNの速度を正確に測定するには、以下の手順で行うのがおすすめである。
- VPN未接続の状態でSpeedtest.netにアクセスし、下り・上り速度とPing値を記録する
- VPNに接続した状態で同じテストを実施し、数値を比較する
- サーバーを変えて複数回テストを行い、平均値で判断する
1回だけの測定では、ネットワークの一時的な混雑などで正確な比較ができないこともある。時間帯を変えて3回以上測定すると、より信頼性の高い結果が得られる。
速度低下を最小限に抑えるための環境づくり
VPNの速度低下を根本から抑えるには、ネットワーク環境全体の見直しも重要になる。
光回線への乗り換えを検討する
モバイル回線やADSLなど低速回線を使用している場合は、VPNによる速度低下の影響が体感しやすい。光回線であれば元の速度が十分に確保されるため、VPN接続時でも快適に使える可能性が高い。
ルーターの性能を確認する
古いルーターを使っていると、処理能力の限界でボトルネックになることがある。特にWi-Fi 5(802.11ac)以前のルーターを使っている場合は、Wi-Fi 6(802.11ax)対応のルーターへの買い替えで速度が大幅に改善する場合もある。
端末のスペックも影響する
VPNの暗号化・復号処理にはCPUリソースが使われる。古いスマホや低スペックのPCでは、この処理がボトルネックになることがある。比較的新しいデバイスであれば、暗号化処理の負荷はほぼ無視できるレベルに収まっている。
Q&Aコーナー
Q. VPNを使うとオンラインゲームに影響はある?
A. Ping値(応答速度)が上がるため、FPSなどのリアルタイム性が求められるゲームではラグが発生する可能性がある。ただし、近いサーバーに接続し、WireGuardプロトコルを使えば影響を最小限に抑えられる。
Q. 無料VPNはやっぱり遅い?
A. 無料VPNはサーバー数が少なく、多くのユーザーが集中するため、有料VPNと比較して速度が遅い傾向にある。セキュリティ面でのリスクもあるため、速度と安全性の両方を求めるなら有料VPNがおすすめである。
Q. VPNを常時接続していると速度はずっと落ちたまま?
A. VPN接続中は常に暗号化処理が行われるため、多少の速度低下はある。ただし高品質なVPNサービスであれば、日常的なWeb閲覧や動画視聴には影響を感じにくいレベルに収まっている。
速度テストの結果は、回線環境・時間帯・端末スペックなど複数の要因で変動する。あくまで目安として参考にすることをおすすめする。
まとめ
VPNを使うと通信速度は多少低下するが、高品質なVPNサービスを使い、適切な設定を行えば日常利用に支障が出ることはほとんどない。
速度低下が気になる場合は、近いサーバーへの接続、WireGuardプロトコルの使用、有線LAN接続への切り替えといった対策を試してみてほしい。まずは自分の環境でスピードテストを実施し、最適な設定を見つけることが大切である。
参考:Speedtest by Ookla(速度テスト公式サイト)、NordVPN公式ブログ「VPNはインターネットを遅くする?」
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