VPNサービスを選ぶとき、速度や料金だけに注目していないだろうか。実は、VPN会社がどの国に「拠点(本社)」を構えているかは、あなたの通信データがどう扱われるかに直結する、かなり重要なポイントだ。
この記事では、VPN拠点国がなぜ大切なのか、「サーバー設置国」との違い、プライバシーに強い国はどこか、そして五眼同盟(ファイブアイズ)の影響まで、まるごとわかりやすく解説していく。

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VPNの「拠点国」と「サーバー設置国」は別物
まず押さえておきたいのが、VPNの拠点国とサーバー設置国はまったく別の概念ということだ。
拠点国(本社所在地)は、そのVPN会社が法的にどの国の法律に従うかを決める。ここが最も重要で、たとえば拠点国の政府がデータ開示を命令できるなら、いくらノーログポリシーを掲げていてもリスクが生じる。
サーバー設置国は、ユーザーが接続するサーバーの物理的な場所のこと。日本から日本サーバーに接続すれば速度が出やすいし、アメリカのサーバーに接続すれば米国限定コンテンツにアクセスしやすくなる。
拠点国は「法律上のルール」に影響し、サーバー設置国は「接続先・速度」に影響する。VPN選びでは両方を確認することが大切だ。
拠点国が重要な理由|法律とデータ保持義務
VPN会社の拠点国が重要なのは、その国の法律がVPN会社にユーザーデータの保持や提出を義務付ける可能性があるからだ。
たとえば、EU加盟国の一部やオーストラリアには「データ保持法」があり、通信事業者に一定期間のログ保存を義務付けている。こうした国にVPNの本社があると、政府からデータ開示を求められた際に対応せざるを得ない場合がある。
逆に、パナマやスイス、英領ヴァージン諸島のようにデータ保持法が存在しない国に拠点を構えるVPNは、法律上ユーザーデータの保存義務がないため、プライバシー面で有利になる。
五眼同盟(ファイブアイズ)とは何か
VPNの拠点国を語るうえで避けて通れないのが、五眼同盟(ファイブアイズ)の存在だ。これはアメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドの5カ国が結んでいる情報共有協定で、各国の諜報機関が互いに通信情報を共有する仕組みになっている。
さらに、この5カ国を含む9カ国(ナインアイズ)や14カ国(フォーティーンアイズ)の拡大版も存在する。
- ファイブアイズ(5カ国):アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド
- ナインアイズ(9カ国):上記5カ国+デンマーク、フランス、オランダ、ノルウェー
- フォーティーンアイズ(14カ国):上記9カ国+ドイツ、ベルギー、イタリア、スウェーデン、スペイン
これらの同盟国に拠点を置くVPNは、理論上、政府間でデータが共有されるリスクがある。プライバシーを最重視するなら、同盟国以外に拠点を構えるVPNを選ぶのが安心だ。

プライバシーに強い拠点国はどこか
VPN会社が好んで拠点を置く、プライバシーに強い国を紹介しよう。
パナマ
NordVPNが拠点を構えるパナマは、データ保持法がなく、ファイブアイズを含むどの情報共有同盟にも属していない。インターネットの自由度も高く、VPNの拠点国としては理想的な環境だ。
英領ヴァージン諸島(BVI)
ExpressVPNの拠点がある英領ヴァージン諸島も、データ保持法が存在しないことで知られている。イギリスの海外領土ではあるが、自治権が認められており、イギリス本国のデータ保持法は適用されない。
スイス
ProtonVPNの拠点があるスイスは、世界でもトップクラスのプライバシー保護法を持つ。スイスのデータ保護法はEU圏よりもさらに厳格で、政府がVPN会社にデータ提出を命じるハードルが非常に高い。
ルーマニア
CyberGhost VPNの拠点があるルーマニアは、EU加盟国でありながらデータ保持指令を憲法違反として却下した経緯がある。このため、通信事業者にログ保存を強制する法律が存在しない。
拠点国の法律は変わることがある。VPNサービスの公式サイトで最新の拠点国情報と、第三者監査の有無を確認しよう。
拠点国だけで判断するのは危険?ノーログポリシーとの関係
拠点国は重要だが、それだけでVPNの安全性は決まらない。同じくらい大切なのが「ノーログポリシー」と「第三者監査」の存在だ。
ノーログポリシーとは、VPN会社がユーザーの接続ログ(いつ、どのサイトにアクセスしたか等)を一切記録しないという方針のこと。ただし、これは自己申告に過ぎないため、第三者の監査法人(Deloitte、PwC、KPMG等)が実際に検証して「本当にログを保存していない」と証明しているかどうかが信頼の分かれ目になる。
主要VPNの第三者監査状況は以下のとおりだ。
- NordVPN:Deloitteによるノーログ監査を複数回実施済み
- ExpressVPN:KPMGとCure53による監査を実施済み
- Surfshark:Deloitteによるノーログ監査を実施済み
- ProtonVPN:Securitumによるセキュリティ監査を実施済み

主要VPNの拠点国一覧
主なVPNサービスの拠点国をまとめた。VPN選びの参考にしてほしい。
| VPNサービス | 拠点国 | 五眼同盟 |
|---|---|---|
| NordVPN | パナマ | 非加盟 |
| ExpressVPN | 英領ヴァージン諸島 | 非加盟 |
| Surfshark | オランダ(旧BVI) | 14アイズ加盟 |
| ProtonVPN | スイス | 非加盟 |
| CyberGhost | ルーマニア | 非加盟 |
| PIA | アメリカ | 加盟 |
| Mullvad VPN | スウェーデン | 14アイズ加盟 |
| MillenVPN | 日本 | 非加盟 |
参考:NordVPN公式ブログ「VPNは違法か合法か」、Surfshark公式ブログ「ExpressVPN vs NordVPN vs Surfshark」
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拠点国で選ぶならどのVPNがベストか
プライバシー重視で拠点国を最優先するなら、以下の基準で選ぶと良い。
- ファイブアイズ圏外で第三者監査済みを求めるなら → NordVPN(パナマ)、ExpressVPN(BVI)、ProtonVPN(スイス)
- 日本語サポートの充実も重視するなら → NordVPN、MillenVPN
- コスパと機能の両立を狙うなら → Surfshark(拠点はオランダだが、Deloitte監査でノーログ証明済み)
ただし、拠点国だけでなく、速度やサーバー数、対応デバイス、料金なども総合的に比較して、自分の用途に合ったサービスを選ぶことが大切だ。
よくある質問
Q. ファイブアイズ加盟国のVPNは使わないほうがいい?
一概にそうとは言えない。PIA(アメリカ拠点)のように、裁判所命令でもログを提出できなかった実績を持つサービスもある。ノーログポリシーが第三者監査で証明されていれば、ファイブアイズ圏内でも十分な安全性が期待できる。
Q. サーバー設置国のほうが重要ではないか?
用途による。動画視聴や速度を重視するならサーバー設置国が大事だが、プライバシー保護を重視するなら拠点国のほうが影響は大きい。どちらも大切なので、両方確認するのがベストだ。
Q. VPNの拠点国が変わることはあるの?
ある。実際にSurfsharkは英領ヴァージン諸島からオランダに拠点を移している。拠点国の変更はプライバシーポリシーにも影響するため、利用中のVPNの最新情報は定期的にチェックしよう。
参考:ProtonVPN「スイスのプライバシー法で保護されたVPN」
拠点国が変わったVPNの事例と影響
VPNサービスの拠点国は固定ではなく、企業戦略やプライバシー法の変化に応じて移転することがある。過去に拠点国を変更した事例を見てみよう。
Surfsharkの拠点移転
SurfsharkはもともとBVI(英領ヴァージン諸島)に拠点を構えていたが、その後オランダに移転した。オランダは14アイズの加盟国であるため、一部のユーザーからはプライバシー面での懸念の声が上がった。しかし、SurfsharkはDeloitteによるノーログ監査を実施してこの懸念に対応し、拠点がどこであれログを保持しないことを第三者に証明している。
NordVPNがパナマを選び続ける理由
NordVPNは創業以来パナマに拠点を構え続けている。パナマには政府がインターネット通信データの保持を義務付ける法律がなく、国際的な情報共有協定にも参加していない。この法的環境がユーザーのプライバシーを守るうえで理想的だとNordVPNは公式に説明している。
ExpressVPNとBVI
ExpressVPNは英領ヴァージン諸島に拠点を維持している。BVIはイギリスの海外領土だが、内政面では独立した法体系を持ち、イギリスのデータ保持法(通称「Investigatory Powers Act」)は適用されない。このため、BVIはVPN事業者にとってプライバシー上の安全地帯と見なされている。

日本はVPNの拠点国としてどう評価されるか
MillenVPNは日本に拠点を置くVPNサービスだ。日本はファイブアイズにもフォーティーンアイズにも加盟していない。ただし、日本には電気通信事業法に基づく通信の秘密保護がある一方、捜査機関からの法的な情報開示請求に応じる義務がある場合もある。
日本のVPN事業者を選ぶメリットとしては以下が挙げられる。
- 日本語でのサポートが充実しており、トラブル時の対応がスムーズ
- 日本のサーバーが充実しており、国内接続での速度が安定している
- 日本の法律に基づく運営なので、サービスの透明性が高い
一方、海外拠点のVPNと比較すると、政府からのデータ開示請求への対応義務がある点は認識しておく必要がある。
まとめ|拠点国+第三者監査で信頼できるVPNを選ぼう
VPNの拠点国は、プライバシー保護の観点から非常に重要な要素だ。ファイブアイズ圏外で、データ保持法のない国に拠点を構えるVPNは、法的なリスクが低い。ただし、拠点国だけで判断せず、第三者監査によるノーログ証明やセキュリティ機能も合わせて総合的に評価しよう。
迷ったら、パナマ拠点のNordVPN、BVI拠点のExpressVPN、スイス拠点のProtonVPNあたりが堅い選択肢だ。
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