Macにはネットワーク設定からVPN接続を追加できる標準機能が搭載されています。わざわざアプリをインストールしなくても、IKEv2やL2TP/IPsecといったプロトコルを使ったVPN接続が可能です。
ただし、標準機能だけでは設定項目が分かりにくかったり、接続先サーバーの用意が必要だったりと、初めての方にはハードルが高い部分もあります。
この記事では、macOSの標準機能を使ったVPN設定手順を、スクリーンショットの操作に沿って解説します。加えて、VPNアプリを使った簡単な設定方法も紹介しますので、自分に合ったやり方を選んでみてください。

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macOS標準機能で使えるVPNプロトコル
IKEv2の特徴
IKEv2(Internet Key Exchange Version 2)は、macOSで利用できるVPNプロトコルの中でも高速かつ安全性の高い選択肢です。モバイル環境との相性が良く、Wi-Fiとモバイル回線を切り替えた際にも接続を自動的に再確立する機能を持っています。
macOS Ventura以降では、IKEv2が標準VPN設定で推奨されるプロトコルとして位置づけられています。企業のVPNサーバーがIKEv2に対応していれば、最初にこのプロトコルを試すのがおすすめです。
L2TP/IPsecの特徴
L2TP/IPsecは古くからあるプロトコルで、幅広いVPNサーバーとの互換性があります。設定時に「共有シークレット(事前共有キー)」を入力する必要があり、IKEv2と比較するとやや手順が多くなります。
ただし、L2TP/IPsecはmacOS Venturaの標準設定画面からは直接追加できなくなりました。利用する場合は構成プロファイルのインストール、またはサードパーティアプリが必要です。
macOS Ventura以降では、L2TP/IPsecがシステム設定のGUIから削除されています。L2TP接続が必要な場合は、Apple公式のVPN設定ガイドを参照し、構成プロファイルを使う方法を検討してください。
WireGuardとの比較
WireGuardは次世代のVPNプロトコルで、IKEv2やL2TPよりも高速かつ軽量です。ただし、macOSの標準機能には組み込まれていないため、利用するにはWireGuardアプリやVPNサービスのアプリが必要になります。
速度を最優先するならWireGuard対応のVPNアプリ、社内VPNへの接続など互換性が重要ならIKEv2という使い分けが合理的です。
macOS標準機能でのVPN設定手順(IKEv2)
システム設定を開く
画面左上のAppleメニューから「システム設定」を開きます。左のサイドバーから「VPN」を選択してください。VPNの設定画面が表示されたら、「VPN構成を追加」をクリックし、プロトコルの一覧から「IKEv2」を選びます。
接続情報を入力する
IKEv2のVPN設定画面が表示されたら、以下の項目を入力します。
- 表示名:接続先を識別するための名前(例:「会社VPN」「自宅サーバー」など自由に設定可能)
- サーバーアドレス:VPNサーバーのIPアドレスまたはホスト名
- リモートID:サーバーの識別子(通常はサーバーアドレスと同じ値)
- ローカルID:クライアント側の識別子(空欄でも接続できるケースが多い)
認証方法は「ユーザー名」または「証明書」のどちらかを選択します。企業VPNの場合はIT管理者から指定された方式を選んでください。「ユーザー名」を選んだ場合は、アカウント名とパスワードを入力します。
接続テストを行う
設定が完了したら「作成」をクリックし、VPN設定画面に戻ります。追加したVPN接続のトグルをオンにして接続をテストしてください。接続に成功すると、メニューバーにVPNアイコンが表示されます。
接続できない場合は、サーバーアドレスやリモートID、認証情報に誤りがないか確認してください。ファイアウォールがVPN通信をブロックしている可能性もあるため、ポート500番とポート4500番(UDP)が開放されているかもチェックポイントです。

VPNアプリを使った設定方法
VPNアプリのメリット
NordVPNやExpressVPNなどのVPNサービスが提供する専用アプリを使えば、接続先の入力やプロトコルの選択を自動で処理してくれます。サーバーアドレスやリモートIDを手動で入力する必要がないため、設定にかかる時間は数分で済みます。
また、専用アプリではWireGuardベースの次世代プロトコルが使えるため、標準機能のIKEv2よりも高速な通信が可能です。
アプリでのセットアップ手順
VPNアプリの基本的なセットアップは以下の流れです。
- VPNサービスの公式サイトでアカウントを作成し、プランを購入する
- macOS用アプリをダウンロードしてインストールする
- アプリを起動し、アカウント情報でログインする
- 初回起動時にVPN構成の追加を求められるため「許可」をクリックする
- 接続先サーバーを選んで「接続」ボタンを押す
初回セットアップ時にmacOSから「VPN構成の追加を許可しますか?」というダイアログが表示されます。ここで「許可しない」を選ぶとVPNが機能しないため、必ず「許可」を選択してください。
macOSのプライバシー設定の確認
アプリによっては、システム設定の「プライバシーとセキュリティ」でネットワーク拡張機能の許可が必要になる場合があります。VPNアプリが正常に動作しない場合は、「システム設定」→「プライバシーとセキュリティ」→「ネットワーク拡張機能」を確認し、対象アプリが許可されているか確認してください。
用途別の接続設定のポイント
テレワーク・社内VPN接続
会社のVPNに接続する場合は、IT管理者から提供される接続情報をそのまま入力するのが基本です。IKEv2または構成プロファイルでの接続が一般的で、自分でサーバーを選ぶ必要はありません。
接続が不安定な場合は、「オンデマンド接続」を有効にすると、ネットワークに接続した際に自動的にVPNが起動します。システム設定のVPN設定画面で「オンデマンド」のオプションを確認してください。
プライバシー保護・フリーWiFi対策
カフェや空港などの公衆WiFiを安全に使いたい場合は、VPNアプリの方が手軽です。専用アプリならワンクリックで最寄りのサーバーに接続でき、暗号化が自動的に適用されます。
大手VPNサービスの多くは「キルスイッチ」機能を備えており、VPN接続が切れた瞬間に通信を遮断してデータ漏洩を防ぎます。標準機能にはこの機能がないため、セキュリティを重視するならアプリの利用がおすすめです。
海外コンテンツへのアクセス
海外のストリーミングサービスにアクセスしたい場合は、接続先の国を選べるVPNアプリが必要です。macOS標準機能では接続先のサーバーアドレスを手動で入力する必要があり、国の切り替えのたびに設定を変更しなければなりません。VPNアプリなら国旗をクリックするだけで切り替えられるため、この用途ではアプリの方がかなり便利です。

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トラブルシューティング
接続できない場合の確認ポイント
VPN接続がうまくいかない場合は、以下の項目を順番にチェックしてみてください。
- インターネット接続の確認:VPN以前にインターネット自体につながっているか確認する
- 認証情報の再確認:ユーザー名・パスワード・共有シークレットに入力ミスがないか確認する
- サーバーアドレスの確認:IPアドレスまたはホスト名が正しいか確認する
- ファイアウォール設定:IKEv2はUDP 500/4500、L2TPはUDP 1701/500/4500が必要
- macOSのアップデート:古いバージョンでは特定のVPNプロトコルに不具合がある場合がある
接続は成功するがインターネットに出られない場合
VPN接続自体は成功しているのにWebサイトにアクセスできない場合は、DNS設定が原因の可能性があります。VPN設定画面で「DNSサーバー」を手動設定し、VPNサーバーが指定するDNSアドレスまたはパブリックDNS(例:1.1.1.1や8.8.8.8)を入力してみてください。
また、「すべてのトラフィックをVPN接続経由で送信」のオプションが有効になっているかも確認が必要です。このオプションがオフだと、特定の通信だけがVPN経由になり、それ以外は通常の接続を使います。
速度が遅い場合の対処法
IKEv2接続で速度が遅い場合は、暗号化アルゴリズムの設定がサーバーと一致していない可能性があります。サーバー管理者に推奨設定を確認してください。VPNアプリを使っている場合は、プロトコルをWireGuardベースに変更すると速度が改善するケースが多いです。
MacでのVPN設定に関するQ&A
Q. macOSの標準機能でVPNを使うのにお金はかかる?
macOSの標準VPN機能自体は無料で使えます。ただし、接続先のVPNサーバーは別途用意する必要があります。会社のVPNサーバーに接続する場合は追加費用は不要ですが、プライバシー保護のためにVPNサービスを利用する場合は、サービスの月額料金がかかります。
Q. Macに最初から入っているVPN機能とアプリ、どちらを使うべき?
社内VPNに接続するなら標準機能で十分です。一方、プライバシー保護や海外コンテンツへのアクセスが目的なら、VPNアプリの方が設定が簡単で機能も豊富です。キルスイッチやスプリットトンネリングなど、標準機能にはないセキュリティ機能が使えるのもアプリの利点です。
Q. VPN接続中もMacのバッテリーは大丈夫?
VPN接続中は暗号化処理のためにCPU負荷がわずかに上がりますが、IKEv2やWireGuardなど軽量なプロトコルであればバッテリーへの影響は限定的です。OpenVPNなど処理が重いプロトコルを使うと消費電力が増える傾向があります。
Q. iPhoneやiPadとVPN設定を共有できる?
macOSとiOS/iPadOSのVPN設定は直接共有できません。ただし、VPNアプリを使っている場合は同じアカウントでログインすれば各デバイスで同じサーバーに接続できます。MDM(モバイルデバイス管理)を使えば、組織内の複数デバイスにVPN構成プロファイルを一括配布することも可能です。
Q. macOSをアップデートするとVPN設定は消える?
通常のmacOSアップデートでVPN設定が消えることはありません。ただし、メジャーアップデート(例:Monterey→Ventura)の際に、L2TP/IPsecのような廃止されたプロトコルの設定が使えなくなるケースはあります。アップデート前にVPN設定のスクリーンショットを撮っておくと安心です。
まとめ
macOSの標準機能を使えば、VPNアプリをインストールしなくてもIKEv2でのVPN接続が可能です。社内ネットワークへの接続やテレワーク環境の構築には十分な機能が備わっています。
一方で、プライバシー保護や海外コンテンツへのアクセスが目的なら、VPNアプリの方がワンクリック接続、キルスイッチ、WireGuardベースの高速プロトコルなど、標準機能にはない利便性とセキュリティを提供してくれます。
自分の用途に合わせて標準機能とアプリを使い分けるのが、Macで快適にVPNを活用するコツです。

macOSのVPN設定について詳しくはApple公式サポートページを参照してください。VPNプロトコルの技術的な詳細はCloudflareのラーニングセンターでも解説されています。
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