VPNサービスの中でも特に知名度が高いNordVPN。世界中で1,400万人以上のユーザーが利用しているとされ、VPN選びの候補には必ずと言っていいほど名前が挙がるサービスです。
しかし、知名度が高いからといって自分の用途に合っているとは限りません。NordVPNにはどんな強みがあり、どんなデメリットがあるのか。料金は本当にお得なのか。速度は実用的なレベルなのか。
この記事では、NordVPNの機能・速度・料金・セキュリティを多角的にレビューし、どんなユーザーに向いているサービスなのかを率直に解説します。VPN選びの参考にしてください。

NordVPNの基本情報
運営会社と設立の経緯
NordVPNは2012年にパナマで設立されたNord Security社が運営しています。パナマはデータ保持に関する法律がなく、政府機関からのデータ開示要求に応じる義務がないため、プライバシー保護の観点から有利な拠点とされています。
Nord Security社はNordVPN以外にも、パスワードマネージャーのNordPass、暗号化クラウドストレージのNordLockerなど、セキュリティ関連のサービスを複数展開しています。
サーバー規模
NordVPNは111カ国以上に7,400台以上のサーバーを設置しています。日本国内にも複数のサーバーが配置されており、国内利用時の速度は安定しています。サーバーの多さは負荷分散に直結するため、混雑時でも速度が落ちにくいのが強みです。
通信速度の実力
NordLynxプロトコルの速度
NordVPNの最大の特徴の一つが、独自開発の「NordLynx」プロトコルです。NordLynxはWireGuardをベースに、プライバシー保護機能を追加した独自プロトコルで、ダウンロード速度950Mbps以上を記録しています。
従来のOpenVPNと比べてコード量が大幅に少なく、処理が軽いため、暗号化による速度低下を最小限に抑えられます。ベース速度の約82%を維持できるという検証結果が複数のレビューサイトから報告されています。
4K動画やオンラインゲームでの使用感
4K動画のストリーミングには25Mbps以上の速度が推奨されていますが、NordLynxプロトコルであればこの基準を大きく上回る速度が出るため、動画再生中にバッファリングが発生することはほぼありません。オンラインゲームについても、遅延(レイテンシ)は日本サーバー接続時であれば数ミリ秒程度の増加に収まるケースが多いです。

セキュリティ機能
暗号化とノーログポリシー
NordVPNはAES-256ビット暗号化を採用しています。これは現在最も安全とされる暗号化規格で、銀行や軍事機関でも使用されています。
ノーログポリシーについては、Deloitteによる独立監査を受けており、ユーザーの通信内容、接続先、IPアドレスなどのログを一切保存していないことが確認されています。パナマの法律上、データ保持の義務もないため、法的にもプライバシーが保護される環境が整っています。
Threat Protection Pro
NordVPNに搭載されている「Threat Protection Pro」は、VPN接続の有無にかかわらず動作するセキュリティ機能です。悪意のあるWebサイトのブロック、マルウェアのダウンロード防止、広告トラッカーのブロックなどの機能が含まれています。
アンチウイルスソフトの代替にはなりませんが、ブラウジング中の追加防御レイヤーとして機能します。特に不審なサイトへの誘導が多いフリーWi-Fi環境での利用時に効果を発揮します。
ダブルVPNと難読化サーバー
通信を2つのVPNサーバーを経由させる「ダブルVPN」機能も搭載されています。通常のVPN接続よりもさらにセキュリティを強化したい場合に有効です。ただし、速度はその分低下します。
難読化(Obfuscated)サーバーは、VPN接続自体を検出されにくくする機能です。VPNの利用が制限されている国や、ファイアウォールが設置されたネットワーク環境で使用する場合に役立ちます。
キルスイッチ
VPN接続が予期せず切断された場合に、インターネット接続を自動的に遮断するキルスイッチ機能も搭載されています。デバイス全体のインターネット接続を遮断する「インターネットキルスイッチ」と、特定のアプリのみ遮断する「アプリキルスイッチ」の2種類が用意されています。
VPN接続の切断はまれに発生します。キルスイッチが無効だと、切断中にIPアドレスが漏洩する可能性があるため、初期設定時に必ずオンにしておいてください。
料金プランの詳細
プランの種類
NordVPNには3つのプランがあります。
- ベーシック:月額約470円 — VPN機能のみ
- プラス:月額約560円 — VPN + Threat Protection Pro + パスワードマネージャー
- コンプリート:月額約610円 — プラスの機能 + 暗号化クラウドストレージ(1TB)
月額契約の場合は1,970円程度になるため、長期プランとの差が非常に大きい点に注意が必要です。VPNを継続的に利用する予定があるなら、2年プランが断然お得です。
同時接続と返金保証
1つのアカウントで最大10台のデバイスに同時接続できます。PC、スマートフォン、タブレットなど、家族全員のデバイスをカバーするには十分な数です。
30日間の返金保証が設けられているため、実際に使ってみてから継続するかどうかを判断できます。返金手続きはライブチャットから行えて、処理はスムーズに進むと評判です。
ストリーミング対応
対応する動画配信サービス
NordVPNはNetflix、Amazon Prime Video、Hulu、Disney+、BBC iPlayerなど、主要な動画配信サービスのジオブロック解除に対応しています。特にNetflixについては30以上の国のライブラリにアクセスできるとされています。
日本のサービスでは、TVerやABEMAなどの地域制限付きサービスに海外からアクセスする用途でも実績があります。日本サーバーの品質が高いため、ストリーミング用途での評価も高くなっています。
SmartPlay機能
NordVPNには「SmartPlay」というDNS技術が組み込まれており、VPN接続時にストリーミングサービスへのアクセスを最適化する仕組みがあります。ユーザーが特別な設定をしなくても、自動的にストリーミングに適したサーバーに接続されます。

デメリットと注意点
中国での接続が不安定
NordVPNは難読化サーバーを提供していますが、中国での接続安定性については「つながりにくい」という口コミが一定数あります。中国滞在が主な目的であれば、ExpressVPNの方が接続実績が多いとされています。
月額契約が割高
2年プランであれば月額470円〜と非常にリーズナブルですが、1カ月プランは約1,970円とかなり割高です。短期利用が前提の場合はコスト面で不利になります。
Linux版のGUI未対応
LinuxではコマンドラインでのVPN操作が基本です。GUIが必要な場合は、ブラウザ拡張機能を併用する形になります。Linux上級者でなければ使いにくいと感じる可能性があります。
NordVPNに関するQ&A
Q. NordVPNは日本語で使える?
アプリ自体は日本語に対応しています。設定画面やサーバー選択画面も日本語で表示されるため、操作に困ることはありません。カスタマーサポートは基本的に英語対応ですが、翻訳機能を活用したやり取りが可能です。
Q. NordVPNは安全?情報漏洩のリスクは?
2019年にフィンランドのサーバーで不正アクセスが報告されましたが、その後セキュリティ体制を大幅に強化し、すべてのサーバーをRAMオンリー(ディスクレス)構成に移行しました。サーバー再起動時にすべてのデータが消去されるため、データが残存するリスクは極めて低くなっています。
Q. NordVPNの解約方法は?
NordVPNの公式サイトにログインし、「サブスクリプション」のページから自動更新をオフにすることで解約できます。30日以内であればライブチャットから返金申請が可能です。
Q. NordVPNはNetflixで使える?
NordVPNはNetflixの視聴に対応しています。日本のNetflixはもちろん、アメリカ、イギリスなど30以上の国のNetflixライブラリにアクセスできるとされています。SmartPlay機能によりサーバー選択の手間も省けます。
Q. NordVPNとExpressVPNはどちらがいい?
速度とコストパフォーマンスではNordVPNが優位、中国での安定性やストリーミング対応範囲ではExpressVPNが優位という傾向があります。日本国内で速度重視の利用ならNordVPN、海外在住で多数のストリーミングサービスを利用するならExpressVPNが適しているケースが多いです。
まとめ
NordVPNは速度・セキュリティ・コストパフォーマンスのバランスが高いレベルでまとまったVPNサービスです。特にNordLynxプロトコルによる高速通信と、Threat Protection Proによる追加セキュリティは他社にはない強みです。
30日間の返金保証があるため、まず試してみて自分の環境での速度やストリーミング対応を確認するのが確実です。2年プランで契約すればコストパフォーマンスは業界トップクラスになります。

詳しい情報はNordVPN公式サイトで確認できます。セキュリティに関する技術情報はNTTPCのVPNセキュリティコラムも参考になります。


