VPNをルーターに設定すれば、Wi-Fiに接続するだけで自宅のすべてのデバイスがVPN保護を受けられます。パソコン、スマホ、タブレットはもちろん、スマートテレビやゲーム機など、VPNアプリを直接インストールできないデバイスも保護対象になります。
ただしルーターへのVPN設定は、アプリをインストールするだけの通常の設定に比べてやや手順が複雑です。対応ルーターの選定、プロトコルの選択、管理画面での設定作業が必要になります。
この記事では、家庭用ルーターにVPNを設定する具体的な手順と、対応ルーターの選び方、設定時の注意点を解説します。
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ルーターにVPNを設定するメリット
すべてのデバイスを一括で保護できる
ルーターにVPNを設定すると、そのルーターに接続するすべてのデバイスが自動的にVPNで保護されます。デバイスごとにVPNアプリをインストールする手間がなくなり、家族全員の端末を一度に守れます。
VPNアプリ非対応デバイスも保護できる
Fire TV Stick、Apple TV、PlayStation、Nintendo Switch、スマートスピーカーなど、VPNアプリを直接インストールできないデバイスもルーター経由でVPN保護の対象になります。IoT機器が増えている現代の家庭では、この点が最大のメリットです。
同時接続台数の制限を回避できる
VPNサービスにはアカウントごとの同時接続台数に上限があります(NordVPNは10台、ExpressVPNは8台など)。ルーターにVPNを設定すれば、ルーター自体が1台としてカウントされるため、接続デバイス数を気にする必要がなくなります。

ルーターVPNのデメリットと注意点
設定の難易度が高い
ルーターの管理画面にログインしてVPNクライアント設定を行う必要があります。アプリをインストールするだけの通常設定と比べると、手順が複雑でネットワークの基礎知識が求められます。
通信速度が低下する可能性がある
家庭用ルーターのCPUは業務用機器に比べて処理能力が低いため、VPNの暗号化処理で通信速度が低下することがあります。特にOpenVPNプロトコルを使用する場合、速度低下が顕著になりがちです。WireGuardプロトコルに対応したルーターを選ぶことで、この問題をかなり軽減できます。
接続先の切り替えが面倒
VPNアプリならワンタップでサーバーを変更できますが、ルーターの場合は管理画面にアクセスして設定を変更する必要があります。頻繁にサーバーを切り替えたい用途には向きません。
すべての通信がVPN経由になる
ルーターにVPNを設定すると、接続するすべてのデバイスの通信がVPN経由になります。国内サービスでVPN接続を拒否するものがある場合、そのデバイスだけVPN対象外にすることが難しくなります。ただし、ASUSのVPNフュージョン機能のように、デバイスごとにVPN経由の有無を選択できるルーターもあります。
ルーターVPNは一度設定すれば便利ですが、通信速度の低下やサーバー切り替えの手間というデメリットもあります。用途に合わせてルーター設定とアプリ設定を使い分けるのがおすすめです。
VPN対応ルーターの選び方
VPNクライアント機能があるか確認する
VPN対応ルーターには「VPNサーバー機能」と「VPNクライアント機能」の2種類がありますが、VPNサービスを利用するために必要なのはクライアント機能です。サーバー機能は外出先から自宅ネットワークにアクセスするための機能であり、NordVPNやExpressVPNなどのサービスを利用するためのものではありません。購入前にクライアント機能の有無を必ず確認してください。
対応プロトコルを確認する
ルーターが対応するVPNプロトコルは製品によって異なります。WireGuardに対応していれば最も高速かつ安全な接続が可能です。OpenVPNにも対応していると、より多くのVPNサービスとの互換性があります。
CPUの処理能力を確認する
VPNの暗号化処理はCPUに負荷がかかるため、デュアルコア以上のCPUを搭載したルーターを選ぶことが重要です。クアッドコアCPU搭載モデルならさらに安定した速度を維持できます。
おすすめのVPN対応ルーター
家庭用VPN対応ルーターとして、以下のメーカー・シリーズが定評があります。
ASUS RTシリーズ / TUF Gamingシリーズ
VPNクライアント機能が標準搭載されており、OpenVPN・WireGuardの両方に対応しています。VPNフュージョン機能でデバイスごとにVPN接続の有無を選択可能です。ASUS RT-BE92UはWi-Fi 7対応の最新モデルで、長期利用にも安心です。
GL.iNet トラベルルーター
小型で持ち運びに適したトラベルルーターです。WireGuard・OpenVPNに対応しており、旅行先でもルーター経由でVPN接続できます。GL-MT3000(Beryl AX)はWi-Fi 6対応でコンパクトな人気モデルです。

ルーターにVPNを設定する手順(ASUS編)
ステップ1:VPNサービスの設定ファイルを取得する
利用するVPNサービス(NordVPN、ExpressVPN、Surfsharkなど)の公式サイトにログインし、ルーター用の設定ファイルをダウンロードします。OpenVPNの場合は「.ovpn」ファイル、WireGuardの場合は設定情報(秘密鍵・公開鍵・エンドポイントなど)を取得します。
NordVPNの場合、公式サイトの「ダッシュボード」→「NordVPN」→「OpenVPN設定ファイル」から接続先サーバーの.ovpnファイルをダウンロードできます。WireGuardの場合はNordVPNアプリ内でルーター用のWireGuard設定を生成できます。
ステップ2:ルーターの管理画面にアクセスする
ブラウザのアドレスバーに「192.168.1.1」または「router.asus.com」と入力してルーターの管理画面を開きます。ユーザー名とパスワードを入力してログインしてください。
ステップ3:VPNクライアントを設定する
管理画面の左メニューから「VPN」→「VPNクライアント」を選択します。「プロファイルを追加」をクリックし、使用するプロトコル(OpenVPNまたはWireGuard)を選んでください。
OpenVPNの場合は、ダウンロードした.ovpnファイルをアップロードし、VPNサービスのユーザー名とパスワードを入力します。WireGuardの場合は、VPNサービスから取得した設定情報(秘密鍵・アドレス・DNS・エンドポイントなど)を各フィールドに入力します。
ステップ4:接続を有効化して動作確認する
設定を保存したら「有効化」ボタンをクリックしてVPN接続を開始します。接続状態が「接続済み」に変わったら、IPアドレス確認サイト(例:ipleak.net)にアクセスして、IPアドレスがVPNサーバーのものに変わっているか確認してください。
ルーターにVPNを設定する手順(GL.iNet編)
ステップ1:管理画面にアクセスする
ブラウザで「192.168.8.1」にアクセスしてGL.iNetルーターの管理画面を開きます。初回アクセス時に管理パスワードを設定してください。
ステップ2:VPNクライアントを設定する
管理画面の「VPN」→「OpenVPN Client」または「WireGuard Client」を選択します。VPNサービスの設定ファイルをアップロードするか、手動で設定情報を入力します。
ステップ3:接続して確認する
設定を保存して「接続」ボタンを押します。接続成功後、IPアドレス確認サイトでVPN経由のIPアドレスに切り替わっていることを確認してください。
GL.iNetルーターはASUSに比べて管理画面がシンプルで、VPN設定の手順も少なくて済みます。VPN初心者がルーターVPNを試すなら、GL.iNetのトラベルルーターから始めるのがおすすめです。
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ルーターVPNで使うべきプロトコル
WireGuardがおすすめ
WireGuardはOpenVPNに比べてコード量が非常に少なく(約4,000行 vs 約70,000行)、処理が軽量です。家庭用ルーターのCPUでも高速な暗号化処理が可能で、速度低下を最小限に抑えられます。NordVPN、Surfshark、ExpressVPNなど主要なVPNサービスはすべてWireGuardに対応しています。
OpenVPNは互換性重視の場合に
OpenVPNはWireGuardに比べて歴史が長く、対応するルーターやVPNサービスが多いです。WireGuard非対応のルーターを使用する場合や、特定のセキュリティ要件がある場合はOpenVPNを選択してください。
PPTPやL2TPは使わない
PPTPは暗号化が脆弱であり、セキュリティ上の問題が指摘されています。L2TP/IPsecも暗号化アルゴリズムの古さから、セキュリティの専門家はWireGuardまたはOpenVPNの使用を推奨しています。

ルーターVPNのトラブルシューティング
VPN接続後にインターネットに繋がらない
DNSの設定が原因であることが多いです。ルーターのDNS設定をVPNサービスのDNSサーバー(NordVPNなら103.86.96.100と103.86.99.100)に変更してみてください。それでも解決しない場合は、VPN設定ファイルを再ダウンロードして設定をやり直すことで解決するケースが多いです。
速度が極端に遅い
OpenVPNからWireGuardへのプロトコル変更で改善する可能性があります。また、接続先サーバーを地理的に近いサーバー(日本国内のサーバーなど)に変更することでも速度が改善します。ルーターのファームウェアが古い場合はアップデートも効果的です。
一部のサイトやサービスにアクセスできない
銀行サイトや一部のストリーミングサービスがVPN経由のアクセスをブロックすることがあります。ASUSルーターのVPNフュージョン機能を使えば、特定のデバイスだけVPN対象外にできます。この機能がないルーターの場合は、一時的にVPN接続を切断して対応してください。
ルーターにVPNを設定する際のよくある質問
どのVPNサービスがルーター設定に対応していますか?
NordVPN、ExpressVPN、Surfshark、CyberGhostなど主要なVPNサービスはすべてルーター設定に対応しています。各サービスの公式サイトにルーター用の設定ガイドが用意されているので、契約前に確認しておくと安心です。
ルーターのファームウェアを書き換える必要がありますか?
VPNクライアント機能が標準搭載されているルーター(ASUSのRTシリーズなど)であれば、ファームウェアの書き換えは不要です。非対応ルーターにDD-WRTやOpenWrtなどのカスタムファームウェアをインストールする方法もありますが、上級者向けの作業であり、メーカー保証が無効になるリスクがあります。
ルーターVPNとアプリVPNは併用できますか?
技術的には可能ですが、VPNの二重接続(ダブルVPN状態)になるため通信速度が大幅に低下します。通常はどちらか一方を使用してください。
ルーターVPN設定まとめ
ルーターにVPNを設定すれば、Wi-Fiに接続するだけで家庭内のすべてのデバイスがVPNで保護されます。VPNアプリを入れられないスマートテレビやゲーム機も保護対象になるのが最大のメリットです。
設定にはVPNクライアント機能を搭載した対応ルーターが必要で、ASUSのRTシリーズやGL.iNetのトラベルルーターが定番です。プロトコルはWireGuardを選べば速度低下を最小限に抑えられます。
VPNサービスの選び方やおすすめの比較は以下の記事で詳しく解説しています。
VPNおすすめ比較|本当に信頼できるサービスだけを厳選して紹介
参考サイト:NordVPN – How to set up a VPN router Surfshark – How to install a VPN on a router ASUS – VPNクライアントの設定方法
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