日本ではVPNの利用は完全に合法だが、世界にはVPNの使用を禁止したり厳しく規制している国がいくつも存在する。海外旅行や出張、留学の前に、渡航先のVPN規制状況を知っておくことは非常に重要だ。
この記事では、VPNが違法な国、条件付きで合法な国、完全に合法な国を一覧でまとめ、各国の規制内容と渡航時の注意点を詳しく解説していく。

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VPNが完全に違法、または厳しく規制されている国
以下の国では、VPNの使用が法律で禁止されているか、政府が認可したVPN以外の利用が違法とされている。
北朝鮮
一般国民のインターネット利用自体が極めて制限されており、VPNの使用も当然禁止されている。外国人も含め、自由なインターネットアクセスはほぼ不可能だ。
中国
中国では「グレートファイアウォール」と呼ばれるインターネット検閲システムが稼働しており、政府の認可を受けていないVPNの使用は違法とされている。ただし、外国人旅行者やビジネス目的での使用について厳格に取り締まられた事例は少ない。
ロシア
ロシアでは政府が承認したVPNのみが合法だ。記事執筆時点で469以上のVPNサービスが制限されており、当局はVPNアプリの大部分をブロックする方針を掲げている。
イラン
政府が許可したVPNのみ使用可能で、無許可のVPN利用は違法となる。ソーシャルメディアや多くの海外サイトがブロックされている。
トルクメニスタン
VPNの使用は違法で、インターネット全体が政府によって厳しく管理されている。違反した場合は罰金や刑事罰の対象になる可能性がある。
ベラルーシ
VPNやTorなどの匿名化ツールの使用が禁止されている。違反者には罰金が科される。
上記の国に渡航する際は、VPNを使うことでトラブルに巻き込まれる可能性がある。渡航前に最新の規制状況を必ず確認しよう。
VPN利用に制限がある国
以下の国では、VPN自体は完全に禁止されていないが、使い方や状況によって規制を受ける可能性がある。
UAE(アラブ首長国連邦)
VPNの使用自体は違法ではないが、VPNを使って犯罪行為やモラルに反する行為を行った場合は厳しい罰金(数十万円〜数百万円相当)が科される可能性がある。
トルコ
VPN自体は禁止されていないが、政府はVPNを含む多数のウェブサイトやサービスをブロックしている。一部のVPNサービスへのアクセスが制限されている場合がある。
エジプト
VPNの使用自体に明確な禁止法令はないが、政府はVoIPサービス(Skype、WhatsApp通話等)のブロックを行っており、VPN利用が監視の対象になる場合がある。
インド
VPNの使用は合法だが、インド政府はVPN事業者に対してユーザーデータの5年間保存を義務付ける方針を示している。このため、一部のVPN事業者はインド国内の物理サーバーを撤去している。
ウガンダ
ソーシャルメディアの利用にOTT税(日次税)が課されており、これを回避するためのVPN利用は違法とみなされる場合がある。

VPN利用が完全に合法な主要国
以下の国ではVPNの利用に法的な制限はなく、自由に使用できる。
| 地域 | 主な合法国 |
|---|---|
| アジア | 日本、韓国、台湾、タイ、マレーシア、シンガポール、フィリピン |
| 北米 | アメリカ、カナダ |
| ヨーロッパ | イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、スウェーデン、スイス |
| オセアニア | オーストラリア、ニュージーランド |
| 南米 | ブラジル、メキシコ、アルゼンチン |
これらの国では、セキュリティ対策やプライバシー保護の目的でVPNを使うことは完全に合法で、個人利用から企業利用まで広く普及している。
合法国でも、VPNを使った違法行為(著作権侵害、不正アクセス等)は当然違法。VPNは「行為を合法にする道具」ではない点に注意しよう。
渡航前にやっておくべきVPN対策
VPN規制のある国に渡航する際は、以下の準備をしておくと安心だ。
- 渡航前にVPNアプリをインストール:規制国ではVPNのウェブサイト自体がブロックされている場合がある。出発前にアプリをダウンロードしておこう
- 難読化サーバー対応のVPNを選ぶ:NordVPNやExpressVPNなど、VPN通信を通常の通信に偽装する機能を持つサービスが有効だ
- 複数のVPNを用意する:1つのサービスがブロックされても、別のサービスで接続できる可能性がある
- 現地の法律を確認する:渡航先の大使館や外務省の渡航情報で最新の規制状況をチェックしよう

よくある質問
Q. 中国でVPNを使ったら逮捕される?
外国人旅行者がVPNを使って逮捕されたケースは、記事執筆時点ではほぼ報告されていない。ただし、中国国内でVPN販売業者が摘発された事例はある。リスクがゼロではないため、慎重な判断が求められる。
Q. VPN規制国でVPNを使わずにプライバシーを守る方法は?
HTTPSで暗号化されたサイトのみを利用する、機密情報の送受信を避ける、現地のSIMカードではなくローミングやeSIMを使うなどの対策がある。ただし、VPNほどの保護効果は期待できない。
Q. 企業の社内VPNは規制国でも使える?
中国やロシアでも、企業が正規に登録した法人向けVPNは認可される場合がある。ただし、事前に現地法人を通じて必要な手続きを確認しておくことが重要だ。
参考:VPN LIFE「VPNは違法?合法?VPNの使用が制限されている国まとめ」、Surfshark「Are VPNs legal? Your global guide」、yuki-vpn「VPNの利用は違法?各国の規制状況と海外での注意点を解説」
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各国のVPN規制の背景と理由
なぜ一部の国はVPNを禁止するのか。その背景を理解しておくと、規制の意図が見えてくる。
情報統制とプロパガンダ
中国やロシア、北朝鮮などの国では、政府に都合の悪い情報が国民に広まることを防ぐためにインターネット検閲を行っている。VPNは検閲を回避できるツールであるため、規制の対象となる。
たとえば、中国ではGoogleやFacebook、Instagramなどの海外サービスがブロックされ、代わりに百度(バイドゥ)やWeChat、Weibo(ウェイボー)といった国内サービスが普及している。VPNなしではこれらの海外サービスにアクセスできない。
宗教的・文化的規制
UAEやイランなどの国では、宗教的・文化的に不適切とされるコンテンツへのアクセスを制限するためにVPN規制を行っている。ギャンブルサイトやアダルトコンテンツ、特定の政治思想に関連するサイトがブロック対象となる。
税収確保
ウガンダのように、ソーシャルメディアの利用にOTT税を課している国では、VPNによる課税回避を防ぐために規制が行われている。

VPN規制の強度は国によって大きく異なる
「VPNが規制されている」と一口に言っても、その強度は国によってまったく異なる。以下のように段階的に分類できる。
| 規制レベル | 内容 | 該当国の例 |
|---|---|---|
| レベル5(完全禁止) | VPNの使用・販売・所持が全面的に違法 | 北朝鮮、トルクメニスタン |
| レベル4(政府認可のみ) | 政府が認可したVPNのみ合法 | 中国、ロシア、イラン |
| レベル3(条件付き規制) | VPN自体は合法だが、違法目的の使用は厳罰 | UAE、オマーン |
| レベル2(一部制限) | VPNサイトのブロック等の技術的制限あり | トルコ、エジプト |
| レベル1(完全合法) | 制限なし | 日本、アメリカ、EU加盟国 |
レベル3~4の国に渡航する場合は特に注意が必要。VPNを使って問題なかった人がいても、それが「合法」であることの証明にはならない。
実際にVPN利用で処罰された事例
VPN規制国で実際にVPN利用に関連する処罰が行われた事例を紹介する。
中国でのVPN販売業者の摘発
中国ではVPNの「利用」よりも「販売・提供」に対する取り締まりが厳しい。政府認可を受けずにVPNサービスを販売した業者が逮捕・罰金処分を受けた事例が複数報告されている。一般利用者が罰せられたケースは、記事執筆時点ではまれだが、リスクはゼロではない。
UAEでのVPN利用による罰金
UAEでは、VPNを使って犯罪行為や規約違反を行った場合に高額な罰金が科された事例がある。VPN利用自体ではなく、VPNを通じて行った行為が問題視されたケースだ。
ロシアでのVPNサービスのブロック
ロシアでは政府の要請に従わないVPNサービスが次々とブロックされている。記事執筆時点で469以上のVPNサービスが制限されており、この数は今後も増える見通しだ。
海外でVPNを使う際は、最悪の場合どのようなリスクがあるかを理解したうえで自己判断することが大切だ。現地の法律に違反する行為は絶対に避けよう。
VPN規制国に渡航する際のチェックリスト
VPN規制のある国に渡航する際は、以下の項目を出発前にチェックしておこう。
- 渡航先でVPNが合法かどうかを外務省・大使館の情報で確認
- VPNアプリを出発前にダウンロード・設定しておく(現地ではダウンロードできない場合がある)
- 難読化サーバー対応のVPNサービスを選ぶ
- VPNが繋がらない場合の代替手段(eSIM、ローミング)を用意する
- 現地の法律に違反する行為をVPN経由で行わない
- 渡航先での通信環境について、事前に口コミや体験談を調べておく

まとめ|渡航先の法律を事前に確認しよう
VPNは世界の大半の国で合法的に利用できるが、一部の国では使用そのものが違法、または条件付きで規制されている。特に中国、ロシア、イラン、北朝鮮、UAEなどに渡航する際は、事前に最新の規制状況を確認し、必要な準備をしておくことが大切だ。
合法な国であっても、VPNを使った違法行為は当然罰せられることを忘れずに、正しい目的でVPNを活用しよう。
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