「自分のIPアドレスを隠したい」「IPアドレスを変更してプライバシーを守りたい」。インターネットのプライバシー意識が高まる中、IPアドレスの変更に関心を持つ方が増えています。
IPアドレスはインターネット上の「住所」にあたるもので、Webサイト側からはアクセス元のIPアドレスが見えています。これを変更する方法はいくつかあり、目的や求めるセキュリティレベルに応じて最適な手段が異なります。
この記事では、IPアドレスを変更する主な方法であるVPN・プロキシ・Torの3つを中心に、それぞれの仕組み・手順・メリットとデメリットを解説します。

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IPアドレスの基本知識
IPアドレスとは何か
IPアドレス(Internet Protocol Address)は、インターネットに接続するすべてのデバイスに割り当てられる識別番号です。Webサイトにアクセスすると、サーバー側にはアクセス元のIPアドレスが記録されます。
IPアドレスには「グローバルIPアドレス」と「プライベートIPアドレス」の2種類があります。インターネット上で見えるのはグローバルIPアドレスで、これはISP(インターネットサービスプロバイダー)から割り当てられるものです。
IPアドレスから分かる情報
グローバルIPアドレスからは、以下のような情報が推定できます。
- おおよその地理的位置:都道府県レベルまでの位置情報(自宅の住所が特定されるわけではない)
- 利用しているISP:どのプロバイダーを使っているか
- 接続元の組織:企業や大学のネットワークの場合は組織名が分かることがある
- 接続の種類:固定回線、モバイル回線、データセンターなどの区分
IPアドレスだけで個人の名前や住所が直接特定されることはありませんが、ISPがログを保持している場合は、裁判所の命令などを通じて個人の特定が可能になるケースもあります。
IPアドレスを変更したい場面
IPアドレスの変更が有効な場面として、以下のようなケースがあります。
- オンラインでのプライバシーを強化したい
- 広告トラッキングを回避したい
- 地域制限のあるコンテンツにアクセスしたい
- IPベースのアクセス制限を回避したい
- 公衆WiFi利用時に実際のIPアドレスを隠したい
方法1:VPNを使う
VPNの仕組み
VPN(Virtual Private Network)は、端末とVPNサーバーの間に暗号化されたトンネルを構築し、すべての通信をVPNサーバー経由で行う技術です。Webサイト側にはVPNサーバーのIPアドレスが表示されるため、利用者の実際のIPアドレスは隠されます。
VPNはIPアドレスの変更と同時に通信内容の暗号化も行うため、プライバシー保護と安全性の両方を確保できるのが最大の特徴です。
VPNでIPアドレスを変更する手順
- VPNサービス(NordVPN、ExpressVPN、Surfsharkなど)にアカウントを作成する
- 対応する端末用アプリをインストールする
- アプリにログインする
- 接続したい国のサーバーを選んで「接続」をクリックする
- 接続完了後、IPアドレス確認サイトで変更を確認する
IPアドレスが変更されたかどうかは、WhatIsMyIPAddress.comなどの確認サイトで簡単にチェックできます。VPN接続前と接続後でIPアドレスが変わっていれば成功です。
VPNのメリットとデメリット
- メリット:全通信が暗号化される / OSレベルで動作し全アプリに適用される / 接続先の国を自由に選べる / 速度が比較的速い
- デメリット:有料サービスが基本(月額300〜1,500円程度) / VPNプロバイダーには通信が見える / 一部サイトでVPN接続がブロックされることがある

方法2:プロキシサーバーを使う
プロキシの仕組み
プロキシサーバーは、利用者の代わりにWebサイトにアクセスする「代理サーバー」です。利用者のリクエストはプロキシサーバーを経由してWebサイトに届くため、サイト側にはプロキシサーバーのIPアドレスが表示されます。
VPNとの最大の違いは、プロキシは通信を暗号化しないという点です。IPアドレスは変更されますが、通信内容自体は保護されません。
プロキシの種類
プロキシにはいくつかの種類があります。
- HTTPプロキシ:Webブラウザの通信(HTTP/HTTPS)を中継する。ブラウザ単位で設定する
- SOCKSプロキシ:HTTP以外の通信にも対応。より汎用的だがHTTPプロキシより速度が遅い傾向がある
- 透過型プロキシ:利用者のIPアドレスをサーバー側に伝えてしまうため、匿名性はない
- 匿名プロキシ:利用者のIPアドレスを隠すタイプ。匿名性が高い
プロキシの設定方法
ブラウザのプロキシ設定は、各ブラウザの設定画面から行えます。Windowsの場合は「設定」→「ネットワークとインターネット」→「プロキシ」からシステム全体のプロキシを設定することも可能です。プロキシサーバーのアドレスとポート番号を入力すれば設定は完了です。
プロキシのメリットとデメリット
- メリット:無料で使えるものが多い / 設定が簡単 / 特定のブラウザやアプリだけに適用できる / 暗号化しないため速度への影響が小さい
- デメリット:通信が暗号化されない / 無料プロキシは信頼性が低い / ログが記録されている可能性がある / アプリ単位でしか適用されない
インターネット上で公開されている無料プロキシサーバーは、運営者が不明なケースが多く、通信内容を覗き見される危険性があります。プライバシー保護が目的なら、無料プロキシの利用は推奨しません。
方法3:Torを使う
Torの仕組み
Tor(The Onion Router)は、通信を複数のリレーサーバー(ノード)を経由させることで匿名性を確保する技術です。通信は3つ以上のノードを順番に通過し、各ノードでは一層ずつ暗号化が解除される「オニオン(玉ねぎ)ルーティング」という仕組みが使われています。
Torを使うと、最終的な出口ノードのIPアドレスがWebサイトに表示されるため、利用者の実際のIPアドレスは複数の暗号化レイヤーの向こうに隠されることになります。
Torの使い方
Torを利用する最も簡単な方法は、Tor Browserをインストールすることです。Tor Project公式サイトからダウンロードでき、インストール後に起動するだけで自動的にTorネットワークに接続されます。
特別な設定は不要で、Tor Browserで開いたWebサイトはすべてTorネットワーク経由でアクセスされます。ただし、Tor Browser以外のアプリ(メールソフト、他のブラウザなど)の通信はTorを通らないため注意が必要です。
Torのメリットとデメリット
- メリット:無料で利用できる / 匿名性が非常に高い / 通信経路を追跡するのが極めて困難 / .onionサイトにアクセスできる
- デメリット:通信速度が非常に遅い / 動画視聴やファイルダウンロードには不向き / 一部のサイトでTor経由のアクセスがブロックされる / 出口ノードが暗号化されていないHTTP通信を傍受する可能性がある

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方法4:ルーターの再起動・ISPへの連絡
ルーターの再起動
多くの家庭用インターネット回線では、ISPから「動的IPアドレス」が割り当てられています。動的IPアドレスの場合、ルーターの電源を切って数分間放置してから再起動すると、新しいIPアドレスが割り当てられることがあります。
ただし、この方法には確実性がありません。ISPのDHCPリース時間(IPアドレスの貸し出し期間)によっては、同じIPアドレスが再割り当てされる場合もあります。
ISPへの連絡
固定IPアドレスの場合や、ルーター再起動でIPアドレスが変わらない場合は、ISPに連絡してIPアドレスの変更を依頼する方法があります。ただし、ISPが対応してくれるかどうかはプロバイダーによって異なります。
3つの方法の比較
用途別の選び方
VPN、プロキシ、Torの3つの方法を主要な観点で比較します。
- 暗号化:VPN(全通信を暗号化) > Tor(多層暗号化だが出口ノードのリスクあり) > プロキシ(暗号化なし)
- 速度:プロキシ > VPN > Tor
- 匿名性:Tor > VPN > プロキシ
- 対応範囲:VPN(OS全体) > Tor(Tor Browserのみ) = プロキシ(設定したアプリのみ)
- コスト:Tor(無料) = プロキシ(無料あり) > VPN(有料が基本)
総合的なバランスではVPNが最も優れており、日常的なプライバシー保護にはVPNが第一選択です。最高レベルの匿名性が必要な場合はTor、特定のブラウザだけIPを変えたい場合はプロキシが適しています。
IPアドレス変更に関するQ&A
Q. IPアドレスを変更するのは違法?
IPアドレスの変更自体は違法ではありません。VPN、プロキシ、Torの利用は日本を含む多くの国で合法です。ただし、IPアドレスを変更して行う行為(不正アクセス、詐欺など)が違法である場合は、当然ながら罰せられます。
Q. IPアドレスを変更してもWebサイトに追跡される?
IPアドレスを変更しても、Cookie、ブラウザフィンガープリント、ログイン情報などの別の手段で追跡される可能性はあります。完全な匿名性を求める場合は、IPアドレスの変更に加えて、プライベートブラウジングモードの使用やCookieの定期的な削除も必要です。
Q. VPNとTorを同時に使うことはできる?
「VPN over Tor」や「Tor over VPN」という組み合わせは技術的に可能です。NordVPNには「Onion Over VPN」という機能が搭載されています。ただし、通信速度が大幅に低下するため、一般的な用途では過剰なセキュリティとなる場合が多いです。
Q. スマートフォンでもIPアドレスを変更できる?
はい、iOS・Android用のVPNアプリを使えばスマートフォンでもIPアドレスを変更できます。モバイル回線のIPアドレスは機内モードのオン・オフで変わることもありますが、確実に変更したい場合はVPNの利用が最も簡単です。
Q. IPアドレスの変更でインターネットの速度は変わる?
VPNを使う場合は暗号化処理のオーバーヘッドにより10%〜30%程度の速度低下が見られます。プロキシは暗号化しないため速度への影響は小さいです。Torは複数のノードを経由するため、大幅な速度低下(50%以上)が一般的です。
まとめ
IPアドレスを変更する方法は、VPN・プロキシ・Torの3つが主要な選択肢です。それぞれに強みと弱みがあり、目的に応じた使い分けが重要になります。
日常的なプライバシー保護にはVPN、ブラウザ単位でIPを変えたい場合はプロキシ、最高レベルの匿名性にはTorが適しています。
どの方法を選ぶにしても、IPアドレスの変更だけで完全な匿名性が確保されるわけではない点は覚えておいてください。Cookie対策やブラウザの設定も含めた総合的なプライバシー対策が大切です。

IPアドレスの仕組みについて詳しくはNordVPNのIPアドレス変更ガイドを参照してください。Torの詳細はTor Project公式サイトで確認できます。
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