VPNに接続しているのに、実はDNSリクエストが暗号化されずに外部に漏れている。いわゆる「DNS漏れ(DNSリーク)」は、VPNユーザーにとって見過ごせないセキュリティリスクだ。DNS漏れが起きると、VPNを使っていてもISP(プロバイダー)にどのサイトにアクセスしたかが筒抜けになる。
この記事では、DNS漏れとは何か、なぜ発生するのか、確認方法と対策をわかりやすく解説する。自分のVPN接続が本当に安全かどうか、一度チェックしてみよう。

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DNS漏れ(DNSリーク)とは何か
そもそもDNSとは
DNS(Domain Name System)は、「ウェブサイトの電話帳」のような役割を持っている。ブラウザに「google.com」と入力すると、DNSサーバーがそのドメイン名をIPアドレス(例:142.250.xxx.xxx)に変換して、正しいサーバーに接続してくれる。
通常、DNSリクエストはISP(インターネットサービスプロバイダー)のDNSサーバーを経由する。つまり、ISPはユーザーがどのウェブサイトにアクセスしたかをDNSリクエストから把握できる仕組みだ。
DNS漏れが起きるとどうなるか
VPNに接続すると、本来はすべての通信(DNSリクエストを含む)がVPNトンネルを経由するはずだ。しかしDNS漏れが発生すると、DNSリクエストだけがVPNトンネルの外に漏れてISPのDNSサーバーに送信されてしまう。
その結果、VPNで通信自体は暗号化されていても、ISPや第三者にはどのウェブサイトにアクセスしているかがわかってしまう。IPアドレスは隠せても、閲覧先がバレてしまうということだ。
DNS漏れが発生する主な原因
OSのDNS設定がVPNを上書きしている
Windowsでは、VPN接続中でもOSが元のDNS設定を使い続けるケースがある。特にWindows 11の「スマートマルチホームド名前解決」機能は、複数のネットワークアダプタに同時にDNSリクエストを送信するため、DNS漏れの原因になりやすい。
VPNアプリの設定不備
VPNアプリ側でDNS漏れ防止機能が無効になっている、またはDNS設定がVPN独自のDNSサーバーに切り替わっていない場合にDNS漏れが発生する。設定を確認して、DNS漏れ防止が有効になっているか確認しよう。
IPv6によるDNS漏れ
多くのVPNはIPv4のみに対応しており、IPv6のトラフィックをトンネル外に流してしまうことがある。IPv6対応のDNSリクエストが漏れると、IPv4のIPアドレスは隠せていても位置情報が特定される恐れがある。
VPN接続の一時的な切断
VPN接続が一瞬切れた場合、その間のDNSリクエストはISPのDNSサーバーに直接送信される。キルスイッチが無効だと、この瞬間にDNS漏れが発生する。
DNS漏れの確認方法
DNS漏れのテストは簡単だ。以下の手順で確認しよう。
ステップ1:VPNを切断した状態でテスト
まずVPNを完全にオフにした状態で、DNS漏れテストサイトにアクセスする。代表的なテストサイトは以下の通りだ。
- ExpressVPN DNS Leak Test(expressvpn.com/dns-leak-test)
- NordVPN DNS Leak Test(nordvpn.com/dns-leak-test)
- BrowserScan(browserscan.net/dns-leak)
ここで表示されるDNSサーバーを確認しておく。通常はISPのDNSサーバー(またはGoogle DNS・Cloudflare DNSなど自分で設定したもの)が表示されるはずだ。
ステップ2:VPNに接続してから再テスト
VPNに接続した状態で同じテストサイトにアクセスし、表示されるDNSサーバーを確認する。
- DNS漏れなし:VPNプロバイダーのDNSサーバーだけが表示される。ISPのDNSサーバーは表示されない
- DNS漏れあり:ISPのDNSサーバーが表示されている。VPN以外のDNSサーバーが混在している場合も漏れの兆候

DNS漏れの対策方法
VPNアプリのDNS漏れ防止機能を有効にする
NordVPN、ExpressVPN、Surfsharkなどの主要VPNには、DNS漏れ防止機能が標準搭載されている。設定画面でこの機能が有効になっているか確認しよう。多くの場合、デフォルトで有効になっているが、自分でオフにしてしまっている可能性もある。
VPN独自のDNSサーバーを使う
信頼できるVPNサービスは、独自のDNSサーバーを運用している。VPN接続時にDNSリクエストがVPNプロバイダーのDNSサーバーを経由するように設定すれば、ISPのDNSに漏れるリスクを排除できる。NordVPNやExpressVPNは独自DNSを自動的に使用する設定になっている。
IPv6を無効にする
VPNがIPv6に対応していない場合は、OSの設定でIPv6を無効にしておこう。Windowsの場合、ネットワークアダプタの設定から「インターネット プロトコル バージョン 6(TCP/IPv6)」のチェックを外すだけだ。
キルスイッチを有効にする
キルスイッチを有効にすれば、VPN接続が切れた瞬間にインターネット通信が遮断されるため、一時的な切断によるDNS漏れも防止できる。
Windowsのスマートマルチホームド名前解決を無効にする
Windowsでは、グループポリシーエディタから「スマートマルチホームド名前解決を無効にする」ポリシーを有効化することで、複数インターフェースへのDNSクエリ同時送信を止められる。ただし、一般のユーザーにはやや高度な設定となるため、VPNアプリ側のDNS漏れ防止機能を使う方が簡単だ。
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| VPNサービス | 独自DNSサーバー | DNS漏れ防止 | IPv6対応 |
|---|---|---|---|
| NordVPN | あり | 標準搭載 | IPv6トラフィックをブロック |
| ExpressVPN | あり | 標準搭載 | IPv6トラフィックをブロック |
| Surfshark | あり | 標準搭載 | IPv6トラフィックをブロック |
| ProtonVPN | あり | 標準搭載 | 一部対応 |
| CyberGhost | あり | 標準搭載 | IPv6トラフィックをブロック |
DNS over HTTPS(DoH)とDNS over TLS(DoT)で漏れを防ぐ
DNS漏れ防止のもう一つの方法として、DNS over HTTPS(DoH)やDNS over TLS(DoT)の利用がある。これらはDNSリクエスト自体を暗号化する技術で、VPNと組み合わせることでセキュリティをさらに強化できる。
DNS over HTTPS(DoH)
DoHはDNSリクエストをHTTPS通信に包み込む技術だ。通常のHTTPS通信と見分けがつかないため、ISPによるDNSリクエストの傍受や改ざんを防げる。Firefox、Chrome、Edgeなどの主要ブラウザがDoHに対応しており、ブラウザの設定から有効にできる。
DNS over TLS(DoT)
DoTはDNSリクエストをTLS暗号化で保護する技術だ。Android 9以降では「プライベートDNS」として標準搭載されており、設定アプリから有効にできる。
ただし、VPNを使っている場合はVPN独自のDNSサーバーが自動的に使用されるため、DoHやDoTの設定が上書きされることがある。VPNとDoH/DoTを併用する場合は、VPNアプリの設定を確認しよう。
よくある質問
DNS漏れテストはどれくらいの頻度でやるべき?
VPNの設定変更後やOSアップデート後は必ずテストしよう。それ以外でも、月に1回程度は確認しておくと安心だ。VPNアプリのアップデートによって設定が初期化されることもあるため、定期的なチェックを習慣にしよう。
Google DNS(8.8.8.8)やCloudflare DNS(1.1.1.1)を使えばDNS漏れは防げる?
パブリックDNSに変更しても、VPNトンネル外にDNSリクエストが漏れる問題自体は解決しない。ISPのDNSサーバーではなくGoogle DNSが表示されるようになるが、DNS漏れが発生していることに変わりはない。根本的な対策はVPNの独自DNSを使うことだ。
DNS漏れとIP漏れの違いは?
DNS漏れは「どのサイトにアクセスしたか」が漏洩する問題で、IP漏れは「ユーザーの実際のIPアドレス」が漏洩する問題だ。どちらもプライバシーを脅かすリスクがあるが、漏洩する情報の種類が異なる。VPN利用時は両方のテストを行っておくのが安心だ。
macOSでもDNS漏れは起きる?
macOSでもDNS漏れは起きうる。macOSはネットワーク環境が切り替わるとDNS設定がリセットされることがあり、VPN接続中でもISPのDNSに問い合わせが飛ぶケースが報告されている。VPNアプリのDNS漏れ防止機能が有効か確認し、定期的にテストしよう。

まとめ
DNS漏れは、VPNを使っていてもプライバシーが守られていない状態を意味する深刻なセキュリティリスクだ。しかし、確認方法は簡単で、対策も難しくない。
VPNアプリのDNS漏れ防止機能を有効にし、キルスイッチをオンにして、定期的にテストサイトで確認する。この3つの習慣を持つだけで、DNS漏れのリスクはほぼゼロに抑えられる。自分のVPN環境が本当に安全かどうか、今すぐテストしてみよう。
参考:ExpressVPN – DNS Leak Test / NordVPN – DNS Leak Test / Surfshark – VPN Test Guide
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